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東京をアジアの金融ハブへ 提言(1)

金融都市東京

もっと思い切ってやろうよ!

こんにちは。香港在住弁護士のマイクです。

このブログ、予想以上に多くの友人が読んでくれていて、その通りとか面白いとかの激励やお褒めのコメントをいくつもいただきました。ありがとうございます。とても感謝しています。

その中の一人で欧州系ファンドの日本代表をしている友人から直接メッセージもいただきました。彼によれば、ブログに書かれていることに全く同感であり、日本はニューヨーク、ロンドン、香港に比べて格段に国際性に劣る、英語が通じないだけでなく日本人以外の人間への許容性が低くハーフの彼でさえ差別をいまだに感じている、これはそう簡単には変わらないだろうと。さらに所得税で半分以上持っていかれるのだから、そもそも日本に海外人材は来ないと考えるべきとまで言ってます。その上で、小手先で何をやっても無駄なので、まずは税制で思い切った改正すればまだ可能性はあるかもと彼の提言を展開してくれました。

彼の提言をここで具体的に書くことは控えますが、彼とはそうだそうだとチャットで議論しました。日本は観光では訪れたい国ですが、金融ビジネスの拠点としてはあらゆる点で香港にずっと劣ってます。かといって日本の「国際性」を香港レベルまで上げるのはいつになるのかわかりません。本気で東京を真の金融ハブにしたいのならせめて大胆な税制改正を行なって、香港と同等またはそれ以上の魅力があるものにすることが必要条件でしょう。それで初めて香港と同じ土俵に立てるかもしれません。私と彼の考えはこれらの点で100%一致してました。

ニューヨーク、ロンドン、香港といずれも国際金融都市ですが、その内容は違います。

ニューヨークはアメリカという世界第一の大国の中心ですから、アメリカ内の資産運用のためにアセットマネージャーが集まります。アメリカ国内にある資産を中心としてAUM(「アセット・アンダー・マネジメント」と言って運用資産残高のこと)を構成すれば良いことになります。アメリカは多分世界中がアメリカだと思っています。話がちょっとそれますが、国際的な取引の仕事をしていると感じるのですが、アメリカは自国が世界であり自国の法律は当然世界中に適用されると考えている節があります。アメリカに特定されていないグローバルな契約を作成しているときであっても、米国法についてだけ特別な条文を入れなければならなくなる場面がいくつも出てきます。アメリカは世界であり世界はアメリカです。なのでニューヨークはアメリカの中心であって世界の中心であり、そこで運用される資産は世界の資産と考えているのでしょう。

一方でロンドンは別です。イギリスも産業革命前の18世紀頃までは貴族が栄えていて世界中の富がイギリスに集まっていました。まさに今のニューヨークのような世界の中心でした。が、その後貴族制度が衰退する一方で資本主義が発展し、更に今世紀に入って機関投資家の国際化に加えて情報技術の革新等もあり、ついに1986年に金融ビッグバンと言われる大改革を行なってます。これによりプラットフォームとしてロンドンというマーケットを世界中に開放し、そこからイギリス内外の資金をイギリス内外の資産に投資する場を作りました。なので、ロンドンにはイギリスの金融機関より海外の金融機関とその金融人材が集まっています。ウインブルドンです。

香港はロンドンと同じです。香港は何も産業がない地域なので、プラットフォームとして香港を開放し、アジアを中心として世界中の資産を集めて世界中で運用する場を提供しています。

東京も一応金融都市です。1990年、日本の企業が世界の企業ランキングの上位を独占していた頃、ジャパン・アズ・ナンバーワンなどと持て囃されて、日本の資金が世界を席巻すると信じていました。今のニューヨークです。その頃は日本の資金をAUMとして運用しているだけで十分で、それだけで国際金融都市でした。30年たった今、日本にある資金をAUMとして運用すれば香港に代わる金融都市になれると考えている節があります。

違います。大きな勘違いであり、驕りです。今や日本は衰退しつつある国です。過去の日本や今のニューヨークのような世界の中心型金融都市ではなく、今のロンドンや香港のようなウインブルドン型金融都市を目指さなければいけません。思い切った改革もそれを念頭にしたものが必要です

これに関してはずっと考えてきた大胆な提言があるんですが、次回紹介します。ではまた。

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