香港の金融人材は東京に来るのか?
こんにちは。香港在住弁護士のマイクです。
さて長々と書きましたが、結論から言うと、大前提の香港から金融人材が他の金融都市に流れるという見立てから間違っているので、このまま指を加えて待っていても何も起こらないと言うことです。もう一ついうなら東京は金融都市(それも最近は怪しいけど)ではあってもこのままでは金融ハブにはなり得ない。「このままでは」と書くのは、日本だって頑張ればまだまだもう一度「ジャパン・アズ・ナンバーワン」になれるはずと考えているから。
でもどうすれば?
それには
①東京が目指すべき「金融都市」とは過去ナンバーワンになった30年前のそれとはその性質も役割もことなることを正確に認識すること
②その上で、今回の香港の一連の出来事を利用して人材を呼び込もうなどというセコい考えを捨てて、そもそも東京が香港に引けを取らない金融都市となるためのファンダメンタルズを整えること
に尽きます。
香港にいて実際にファンドビジネスに携わりながらながら日本を眺めると、その法制度や金融業界の立ち位置の違いがはっきりと見えてきます。香港で実際に働いてみると日本ってこんなに不便で視野が狭かったんだ、と。
上で指摘した2点のうち、①は前回の「東京をアジアの金融ハブへ(2)」でも指摘したとおりです。30年前のジャパン・アズ・ナンバーワンの時代とは、日本が60年代から輸出主導型の経済政策により世界経済に参入し輝かしい経済成長を遂げた夢のような時代でした。日本の銀行もこの経済成長を後ろ盾に世界でナンバーワンになったのです(右上参照。「週間ダイヤモンド」2018年8月25日号より抜粋。https://diamond.jp/articles/-/177641?page=2)。しかし、栄華を誇った日本の産業も90年代以降、日本の高度経済成長を手本とした中国等のアジア諸国にその地位は奪われ、ガラパゴスなどと自嘲しながら内需主導型に移らざるを得なくなっています。今GAFAが世界中を席巻している時代に相変わらず日本の資産(高齢者の持つ個人資産??)を運用することを最重要として東京を世界の金融都市としようなどというのは妄想であるということに早く気がつくべきです。東京が本当に世界の金融都市を目指すのであれば、30年前の栄光は捨てて世界中の資金を世界中の資産に投資できるプラットフォームを持つ都市となることです。
次は②。ここからが本論です。そのためには何が必要か?続きは次回に。